某団体の「炎上」に見る対応

2023年1月18日

ジェンダーハラスメント ツイフェミ ニュース

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 「フェミニスト」を自称している人たちが絡む社会運動団体が炎上している。

 きっかけは、社会支援団体の「Colabo」に対して、市民が東京都に監査請求をだし、それが部分的に認められたことについて、 Colabo側が異常とも思える反応を繰り返していることだった。

きっかけとなった「会計監査請求」

 インターネット上で「暇空茜」と名乗る人物が2022年、Colaboの財政状況について東京都に情報公開請求や会計監査などを繰り返す活動をおこなった。情報公開請求によって得られた資料を精査した上で「公費での補助金を受け取って不透明な収支をしているのではないか」と主張し、ネット上で疑念を公表した。

 それに対してColabo側は2022年11月29日、「暇空氏の行為は名誉毀損」だとして、暇空氏を相手取り、団体としてのColabo、および同団体代表者の仁藤夢乃という人物個人に対して、それぞれ1000万円以上の高額の損害賠償を求める訴訟を起こすと、記者会見をおこなった。Colaboと近い関係にあるとされる、人権活動団体・反差別活動団体と自称する団体「のりこえねっと」のyoutubeチャンネルでネット中継された。またその様子は多くのマスコミで報じられた。

 記者会見を全部ネット中継で見ていたが、マスコミの記事になったものと見比べると、受けた印象が全く違うという問題もある。

 マスコミではcolabo側に一方的に寄ったとも受け取れる記事になっていて十分に報じられていないが、ネット中継で記者会見を見た一般の人は、それまでこの問題をよく知らなかった人も「Colaboや弁護団の対応は疑問。おかしいんじゃないか」となった。そして大批判が殺到したという経過。

 「ただの一個人に対し、マスコミでもしばしば取り上げられるような社会的に有名な団体と、マスコミ出演の機会なども多いその団体の代表者、代理人弁護士7人が、よってたかって一方的に攻撃しているという違和感。明らかに強い立場のものが、社会的地位のない一人の市民を攻撃し高額の訴訟を起こしている。スラップ訴訟だと批判されてもしょうがないのではないか」

 「代理人弁護士が、情報開示活動や監査請求は『リーガルハラスメント』だと発言した。市民の権利を否定するなんて、これどういうこと?」

 「会計に不審点があるという指摘なのに、相手を名誉毀損呼ばわりで攻撃する必要はないのではないか」

 「Colaboやその支援者は『女性差別を背景とした嫌がらせだ、もの言う女性の口をふさごうとする女性差別だ』『仁藤夢乃が過去にアニメ作品について批判的に言及したことが気に入らなかったヲタが、腹いせで嫌がらせをしている。ヲタ=ミサンドリストによるフェミニスト攻撃』という抽象的で雑な内容での印象操作に終始している。しかしそういう話じゃないだろう」

など。

 補助金や経費の問題については当方ではわからないので、その部分については現時点ではなんとも言えない。きちんと調査した上で結論が出ればそれでいいだろう。しかしながらColabo側の記者会見については、「話をすり替えている」「感情的に脅している」ともとれ、強い違和感を感じた。

 東京都監査委員は2022年年末までに監査結果をまとめ、年明けの2023年1月4日付で「一部認容した」と公表した。しかしColabo側は「ほとんどが却下された」と描き、批判者を恫喝するような対応を繰り返したことでも、さらに批判を浴びた。監査内容は、colaboの会見には不審点があるから、期日までに再調査の必要があるというもの。不当な言いがかりが却下されたとばかりに全面勝利するようなものではない。しかも監査はほとんどが却下されるのが常で、監査が認容されたのは東京都は「舛添知事(当時)の公用車不適切利用疑惑」以来6年ぶりとなっている。監査が通った事自体も画期的なものとなっている。

 またColaboだけでなく、彼らと近い人脈が関与している別の社会支援団体複数にも「公金の不正や不適切な利用の疑惑」が密接に関連しているのではないかとも指摘され、あちこちに飛び火している状態となった。

ここまで炎上した背景

 きっかけとなった公金の不透明疑惑については、せめて「指摘してきた側とは見解の違いがあり、当団体としては問題はないと考えているが、より透明性を高める工夫をしたい」までに抑えていたなら、ここまで炎上しなかっただろう。しかし疑惑を指摘したものを「名誉毀損だ」「リーガルハラスメントだ」と脅して口を封じようとする手法が、当該者だけでなく第三者の一般市民からも反感を受けたと感じる。

 さらにそこに至るまでに、当該団体やその代表者、それと同調する人物など、俗に「ツイフェミ」「ラディカルフェミニスト」と呼ばれる行動傾向を持つ界隈が、一般市民や、競合するとみなした社会事業団体関係者、政党などに、いわれのない言いがかりを付けて中傷したり、集団で恫喝する、ひどい場合は本人だけでなく勤務先や家族なども攻撃の標的にするなど、圧力をかけて妨害する行為が繰り返しあった。このことで、過去にこの代表者本人やその同調者から攻撃されて被害を受けた被害者の怒りが、この機会にとばかりに爆発したことも加わっているように感じる。

 この代表者本人だけでも、過去に変なことをしてきた経緯が多数ある。

 自分にとって気に入らないとみなした対象には、あたり構わず「キモい」連呼して当然とばかりの態度。それを批判されると「もの言う女性への中傷・妨害」かのようにすり替えて被害者面する態度。こんなもの、フェミニズムとかジェンダーとかそういう問題以前に「いじめの論理」そのものである。いじめ加害者がいじめ行為をおこない、被害者が抵抗したり周囲が諫めると「自分がいじめられた」と吹聴して被害者面することで周囲を焚きつけようとして自己正当化し、取り巻きに殴らせて不利益を受けさせる、そういういじめの構図である。

 仁藤は2021年、「キモいおじさん」と題する動画コンテンツを作成し、数回にわたって発信した。内容は、仁藤と取り巻きの若い女性が、自分たちが遭遇した、自分にとって気に入らないとみなした男性を「キモいおじさん」呼ばわりでこき下ろして悪口を言う、男性を差別するという、とんでもない差別的、あるいはいじめ加害者の言動そのものの内容。しかもこの動画は、反差別や人権を掲げて活動すると自称している団体「のりこえねっと」のコンテンツの一部として公開されているという、人権団体を自称して活動しているにもかかわらず人権侵害を公然とおこなっているという、トンチキ極まりないもの。

 学生時代の同級生へのいじめ疑惑。被害に遭ったとされる元同級生が告発すると、それを本人と、弁護士なども含めた取り巻きが何の根拠も示さないまま「事実無根」と集団で恫喝して中傷する形で、被害訴えを封じた。

 ほかの社会支援団体関係者への中傷。保育系の活動をおこなっている団体関係者のA氏の主張にこの人物が難癖を付けた。A氏が自分の事業を説明して分が悪くなったこの人物は、A氏を「マンスプレイニング」だと罵倒して被害者面した。困惑したA氏が「私が男性だからって何か関係ありますか」と問いかけると、この人物と取り巻きは「それがマンスプレイニングなんだよ」とばかりに感情的な罵倒の集中砲火を浴びせた。この人物は、その後もことあることに、A氏への攻撃を蒸し返している。また、別の自殺対策にかかわる社会支援団体関係者・B氏へも、「自殺支援ビジネス」だと一方的に罵倒した。

 立憲・本多平直議員排除問題。未成年者への性行為に関する法律案で、年齢差などで機械的に切ると法律の運用としては人権侵害になりかねないので具合が悪い・立法化するなら恣意的な濫用を避けるための慎重な手立てが必要だと危惧を持ったと受け取れる文脈で、本多議員が党内の会合で、具体的な線引きをどこに置くかなどを具体事例を挙げて質問するなどした。その際に例え話として「18歳どうしならいいのか。また50代のおっさんが関与するのならどうなるのか」などという話を出した。しかし「ツイフェミ」「ラディカルフェミニスト」が、本多議員発言を「『50代のおっさん』である自分が未成年者と行為に及びたいかのように主張した変質者」かのようにねじ曲げて攻撃し、立憲執行部に圧力をかけ、本多議員を処分させようと図った経過。結果的に本多議員は議員辞職した。これは作家・北原みのりなどが主導したとされているが、仁藤もツイッターなどで尻馬に乗って攻撃していた。

 「ヲタコンテンツ」に分類されることも多い作品に、「ツイフェミ」「ラディカルフェミニスト」が「政敵だからけしからん」などと難癖を付けて燃やしにかかり、その作品のクリエイターやファン(ヲタ)を攻撃し、またその作品を広告媒体として採用した企業や公共機関などにも暴力的な攻撃を加えて取り下げさせようと図るなどの行為を繰り返した問題。「ラブライブ!」「宇崎ちゃん献血ポスター騒動」「千葉県松戸市の町おこしVTuber・戸定梨香」「温泉むすめ」など。コンテンツ燃やしなどについては、暇空訴訟で仁藤の代理人弁護士となった人物、松戸市議の某など、別の「ツイフェミ」「ラディカルフェミニスト」が関与した事例が多く、この人物が直接関与したものは少ないとも思われるが、「温泉むすめ」ではこの人物が「燃やし」「叩き」を主導した。

 「ヲタ叩き」「コンテンツ燃やし」と密接に関連するものとして、「表現の自由への介入・干渉、表現規制」。自分の気に入らない表現物に対してはどんな暴力的な行為をしてもいい、集団で圧力をかけて恫喝して社会的に抹殺するとばかりの態度。

 2021年総選挙では、野党陣営への攻撃があった。仁藤やそれに近い「ツイフェミ」「ラディカルフェミニスト」界隈が共産党に接近して影響力を強め、本来は「表現の自由ガチ勢」だった共産党を、文化政策そのものは変わってはいない・文化政策ではこれまでの方針を堅持した内容を掲げたとはいえども、ジェンダー政策の文脈で「表現規制は当然」ととれるような政策文書を出してしまい、表現者・クリエイター・「ヲタ」界隈からも強い失望を生んだ。その後修正する見解が出されたものの、不信感を拭うに至らなかった。また「ツイフェミ」「ラディカルフェミニスト」が共産党の池内さおり候補(比例東京ブロック・東京12区重複)に近づき「選挙応援」などをしたが、仁藤は「池内候補以外の、ほかの候補者はどうでもいい」とばかりに攻撃し、「共産党の比例順位は男尊女卑」「男が女を利用している」「共産党運動員のおっさんがキモい」などと攻撃するなど、妨害行為をおこなった。

 またこの界隈は、共産党以外の国政野党についても、自分の言いなりにさせよう、言いなりにならないものは叩き潰すとばかりの攻撃を図った。2021年総選挙に野党系無所属として出馬した米山隆一候補が「ジェンダーの問題は重要だし自分も訴えたが、有権者に伝わるような工夫が必要。選挙の戦術としての優先順位は暮らしと経済」とする見解を述べたことで、「自分たちの考えるジェンダー以外はどうでもいい」的な「ツイフェミ」「ラディカルフェミニスト」がよってたかって米山氏攻撃をおこなった。その際に仁藤が米山氏を「買春パパ活オヤジ」と罵倒し、さらに米山氏の妻の作家・室井佑月氏を指すことが明らかな文脈で「妻は夫の性欲処理機ではない」と攻撃した。このことで室井氏が反撃し、分が悪くなったこの人物が矛先そらし「温泉むすめ」に持ちだした経緯。

 群馬県草津町の事件も。草津町議だった女性が突然「町長から町長室で性被害を受けた」と主張した。町長はそれを全面否定し、事件があったとされる町長室にマスコミを呼び入れ、「かの町議が主張する状況ではそのような事件が起こりようがない」と潔白を訴えた。当該町議はほかにも、居住実態の問題や、議会での不適切発言などの問題が起こり、リコールが成立して失職するなどの経過を取った。それらの経過を、町議側の立場に立った「ツイフェミ」「ラディカルフェミニスト」が全面的に擁護した。仁藤を支援する立場でも動いている作家・北原みのりが中心となって、草津町で「フラワーデモ」をおこなうなどして「草津はセカンドレイプの町」などと中傷した。また北原は、町長を攻撃する文章を繰り返し発表した。仁藤もツイッターで草津町の問題に触れて攻撃していた。しかしこの問題では、町議の名誉毀損容疑のほか、この手の案件では立件が極めて異例となる虚偽告訴容疑が刑事事件として認められ、町議は書類送検されることになった。

 これらの数々の乱暴狼藉の背景があり、それまでこの人物やその周辺から嫌がらせをされてきて不満に思っていた多様な階層が、この機会にばかりにと立ち上がり、自然発生的に包囲網を敷いた背景もある。

 筆者自身も、当該人物については「いじめ疑惑への対応」で不信感を持ち、2021年の各種のコンテンツ燃やしと表現弾圧・「キモいおじさん」動画・「2021年総選挙での共産党への理不尽な攻撃」の3点で決定的に切れたという経過である。

かの団体のいじめの原動力

 あの人物やその取り巻きについては、「男性への差別行為や公金の不適切管理疑惑なども含めた不適切行為を繰り返していた者が、過去の被害を受けた被害者を含めて広範囲から批判を受けている」という構図である。

 しかしそれを無理やり「女性差別」「もの言う女性への攻撃」扱いの構図に落とし込もうとするもの。

 例えば、仁藤夢乃と密接に近い支援者にもあたる昨夏・北原みのりは、仁藤の「キモい」連呼が正当な行為であるかのように擁護する文章を発表した。また北原は自身のサイトでも、仁藤への批判・colaboの不適切会計に疑問を出すことは「フェミサイド」扱いする同調者からの寄稿文を掲載し、それを自身も「フェミサイド」の部分を抜き出してツイッターで紹介するなど、攻撃を繰り返している。それだけでなく、ツイッター上の匿名の多数の「ツイフェミ」が、「仁藤などの不適切行為を問題にするのは女性差別、ミサンドリー」などと暴言を繰り返している。

 こんな卑屈なすり替え、幼稚だとしかいいようがない。問題は「女性だから攻撃されている」とばかりのものではない。直接のきっかけは公金の使用状況に疑念が持たれるような行為をしたことである。そこに、「女性」を振りかざせば気に入らない相手を黙らせられるとばかりに、過去にあたり構わず嫌がらせをしてきたことでも、批判が起きているのである。

 この団体やそれにつながる人脈がここまで横暴な行為をしたことの背景は「政府中枢や右派系の団体とつながっているのではないか」「マスコミを抑え込んでいる」「保守的な宗教団体ともつながっている」「左派系の団体も取り込んだ」などといろいろな観測がされている。そのへんのことについては現時点でよくわからないが、少なくともこの団体の関係者がやってきたことは、とてもじゃないが正常とはいえないものであると感じる。

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