名誉棄損:無罪判決後、報道基に匿名ブログ 福岡の医師、発信者の開示求め提訴
◇事件内容書き込み
��毎日新聞 2009/11/22)
診察を装ってわいせつ行為をしたとして準強制わいせつ罪に問われ、無罪が確定した福岡市内の男性医師(45)が、無罪判決後に匿名のブログで名誉を傷つけられたとして、インターネット接続業者(プロバイダー)に発信者情報の開示を求めて大阪地裁に提訴した。業者側によると、内容は既に報道されたものばかりで「権利の侵害が明白でない」と反論する。報道を基にしたブログが名誉棄損にあたるかが注目される。【日野行介】
医師は06年、診察を装い女性患者を撮影したなどとして準強制わいせつ罪3件に問われた。2件有罪、1件無罪とした福岡地裁判決に対し、2審・福岡高裁は09年5月、3件とも無罪とし確定した。訴状によるとブログは、自称「調査会社の社員」が匿名で開設。事件など自分の関心事を書き込んでいるが、2審判決当日、医師の実名を挙げて「わいせつ診療で逮捕~逆転無罪」とする見出しを掲載。「医療行為と称して患者の体を触り、写真も撮った」などと逮捕容疑や起訴状に基づき新聞などで報道された内容を書き込んだ。
医師側は無罪判決後にブログに掲載された点を問題視。「社会的評価を著しく低下させる」とし8月、プロバイダー「ケイ・オプティコム」(大阪市)に発信者開示を求めたが拒否されたため10月、提訴に踏み切った。
同社側によると発信者は「社会的に知れ渡った情報を書き込んだ。無罪というニュースも追加しており、名誉棄損に当たらない」と説明。同社側は「権利の侵害が明白ではない」と請求棄却を求めた。書き込みは、発信者が「医師の気持ちを考え」既に削除したという。プロバイダー責任制限法(02年5月施行)は、書き込みにより名誉棄損などの権利侵害があった場合、発信者を開示するようプロバイダーに求めることができる、と規定している。
問題視されたブログを読んだわけではないので一般論になるが、新聞報道に沿って事実関係を紹介したら名誉毀損、というのは無理がありすぎるのではないか。
この刑事事件の経過については、当時の新聞報道を読む限り「無罪という結果ではあるが、判決に対しての批判はありえるだろう」と感じる内容だった。実際に、無罪判決を報じた新聞報道を受けて判決を批判していたブログもあった。
訴訟の展開次第では、ブログで新聞記事の紹介や感想を取り上げることも困難になり、ブログ運営者が萎縮することにもつながりかねない。訴訟の今後の展開が気になる。